ITSフォーラム札幌
北国の暮らしと交通〜21世紀へのシナリオ

★ Last Update Apr.3. 1999 ★

< 開催日時・場所 >
平成11年3月5日(金),於京王プラザホテル札幌
< 主 催 >
道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会(VERRTIS)
札幌圏ITS推進フォーラム設立準備会(推進フォーラムへ

資料提供:札幌圏ITSフォーラム設立準備会

フォーラム参加人数: VERTIS会員139名/非会員・一般231名/招待28名/プレス11名  計409名

 

基調講演 「情報結縁都市さっぽろとITS〜札幌市情報化構想からの展望」
山本 強/北海道大学大型計算機センター 教授

 講演は、今まさに情報通信革命の時代であり、新しいデジタルメディアが生活・ビジネス・教育など全ての暮らしを向上させる時代にあるとの話題から始まりました。
 “情報結縁都市さっぽろ”を掲げる札幌市情報化構想のビジョン、ITSにも必要なパートナーシップ、ベストエフォート型の社会システムなどのの話題の後、地域的なコミュニティ「地縁」から情報ネットワークが可能にする住所に縛られない人の縁「智縁」へという新しいコミュニティスタイルの創造についての講演でした。

 


特別講演 「ITSで拓く21世紀の道路交通〜スマートウェイの展望」
岩崎 泰彦/建設省土木研究所ITS研究室 主任研究員

講演のスケルトン


1.実用化が始まったITS

2.ITSとスマートウェイ

3.ITSの目的と効果

4.スマートウェイの実現に向けて
 講演は、日本が世界に先駆け打ち出した「スマートウェイ2001/知能道路計画」を中心になされました。
 VICS・ETC・AHSの各種ITS技術の紹介とそれによる交通事故の削減、交通渋滞の解消、環境負荷の軽減等の効果に関する説明がなされました。
 最後には、スマートウェイの実現に向け、必要となる制度・基準類の整備、国際標準化を視野に入れたプロジェクトへの着手、スマートウェイ推進会議の開催、実用化を視野に入れた2000年のAHS実証実験に関して説明がなされました。

 

先進事例方向 「岡山県ITSモデル地区実験の取り組み」
田中 良雄/岡山県土木部道路建設課 主査

<講演内容概要集 抜粋>

 岡山県では情報化における地域格差の是正等を目的として、県内どこからでも低廉で高速なインターネット環境の整備を行う「岡山情報ハイウェイ」を進めており、ITSモデル地区実験においてもこの岡山情報ハイウェイを活用して実験に取り組んでいます。

インターネットやCATVを通じて一般家庭へ、道の駅などの公共施設や公共交通拠点に設置する情報キオスクを通じて各利用者に道路情報、駐車場情報、公共交通機関情報、観光・イベント情報等を提供します。
リアルタイムな工事規制情報などの道路情報を収集し、各道路管理者で共有するとともに、必要な情報を利用者に迅速・的確に提供します。
空港、JR、バス、フェリーなどと連携して、運行状況、満空情報等の収集・提供を行います。
物流事業者の運行管理を支援するため、リアルたいむな道路情報を提供します。
警察、消防、医療機関等の救急活動を支援するため、リアルタイムな道路情報、災害・気象情報を提供します。

 

ビデオ上映 「北海道におけるの取り組み」
札幌圏ITSフォーラム設立準備会

 

パネルディスカッション 「21世紀の北国のモビリティとITS」 

<コーディネーター>

林 美香子/フィリーキャスター

<パネリスト>

萩原 亨/北海道大学大学院 工学研究課 助教授

加治屋 安彦/北海道開発局 開発土木研究所

小川 敏雄/札幌市 手稲区長

逢坂 誠二/後志支庁ニセコ町長

藤田 達也/リクルート北海道支社

約1時間半のパネルディスカッションでは、コーディネーターの林美香子さんを中心に、様々な視点から北国のモビリティとITSについて活発な意見交換が行われました。
ここでは、討議の内容を大きく3つの視点に分け、5人のパネリストの代表的な意見をまとめました。


■北海道の道路交通“北のモビィリティ”に感じる点

北海道大学大学院工学研究課 助教授/萩原 亨
  • 北海道の道路交通環境は、非常に良い面を持っている。
  • 問題は冬期交通であり、特に事故・渋滞・移動制約の3点である。
  • 事故率は全国的に低いレベルだが致死率が高い。
  • 冬期の渋滞は札幌圏において旅行速度が約15km/hとなり、東京都内とほぼ同じレベルに悪化する。
  • 冬の移動では自転車・歩行の手段が失われ、大きな制約となる。
北海道開発局 開発土木研究所/加治屋 安彦
  • 北海道には滑りやすい凍結路面や吹雪による視程障害など、車の運転に厳しい条件が存在している。
  • 札幌では道路の雪処理や豪雪時の都市機能の確保など、寒冷都市で逃れることのできない重要かつ難しい問題を抱えている。
  • 一方、雪のない季節は郊外でのキャンプなど、車の利用に最も相応しい条件をもっている。
札幌市手 稲区長/小川 敏雄
  • 札幌市内の冬の渋滞は、路上駐車と通過交通が影響している。
  • 市民からの苦情の約9割が各家庭における間口の雪処理問題である。市民は除雪車がいつ家の前に来るかを知りたいと考えている。
後志支庁ニセコ町長/逢坂 誠二
  • 北海道の観光地は自動車でないと非常に利用しづらい。
  • 最近、レンタカーでの観光客が多い。
  • 札幌や千歳に向かう国道は以前に比べ便利になったが、現在も峠越えは厳しい。
リクルート北海道支社/藤田 達也
  • “じゃらん”創刊時のアンケートでは、9割以上が週末にマイカーで出かけるとのことであった。
  • 夏と冬で同じ道路環境を作るのは難しいこと。冬は冬で楽しむという方向で、情報を有効に活用できたらよい。
  • 都市部以外では情報が閉鎖的になっており、地域経済を伸ばせずにいる。

 

■ITSが解決する北海道の道路交通課題

北海道大学大学院工学研究課 助教授/萩原 亨
  • ITSは観光などへの活用が主体な訳ではなく、社会基盤であり、生活基盤である道路を支え、不安感を取り除くことが基本的な目的である。
  • ITSには道路整備や維持管理に必要となる費用を軽減する効果が期待できる。
  • 「吹雪の中ではハザードをつけながら走行する」このような工夫も基本的にはITSであると思う。
北海道開発局 開発土木研究所/加治屋 安彦
  • 峠情報の提供実験の際に行ったアンケートでは、運転の不安感が軽減・心理的距離感が縮まる効果が示された。
  • 情報は利用者が受けるサービスレベルを高め、事故に遭遇する機会も減少させる。
  • ITSは少ない費用で災害対策などを可能にする。このためにも官民のパートナーシップが大切である。
  • 管理作業車両などはITSの最初の実用化として有効である。
  • 現在、研究中のミリ波レーダ技術もコストが課題となっているが、21世紀には大幅なコストダウンが予想できる。
  • 放送メディアと連携を図ることが必要である。
札幌市手 稲区長/小川 敏雄
  • 今後は情報の使い道が重要で、道路管理の視点、利用者側の視点、そして市民が楽しむ視点の3つがある。
後志支庁ニセコ町長/逢坂 誠二
  • 「道案内が悪い」「標識がわかりにくい」という観光客の苦情に対し、カーナビに期待している。
  • 道路には潤いが必要、ITSを清掃作業に利用できないか。
  • 除雪作業に対しても、ITSを活用することはできないか。
リクルート北海道支社/藤田 達也
  • インターネットによる情報提供もおもしろさが必要である。例えば、観光情報にキタキツネスポットやエゾシカ情報などを盛り込めば、情報が一般ユーザーに無理なく広がる。
  • 内地から訪れる人は距離感がない。カーナビは事前に距離感をつかむのに有効かもしれない。旅行のプランニングに役立つ。

 

■ITSが生む地域の活性化・経済の活性化

北海道大学大学院工学研究課 助教授/萩原 亨
  • 利用者はわがままで要求もエスカレートする。達成レベルの合意形成が必要である。
  • ITSが道路交通のみでなく、交通運輸全体のシステムとして検討されることを期待している。
  • ITSにより情報の集約・発信が可能となり、心理的・物理的距離が縮まる。ITS技術が我々の将来に役立つこととなればすばらしいと思う。
北海道開発局 開発土木研究所/加治屋 安彦
  • インターネットは新しい社会システムを生み出す可能性を持っている。
  • インターネットを活用して「道の駅」から地域情報を発信すると、外部の人々が地域のイベントに参加可能となる。
  • 道の駅におかれる端末が普段は観光情報の提供に、冬場には気象情報の提供にと、効率的な利用方法が理想的なITSである。
  • 情報の発信・受信能力がその地域の発展を左右する。ITSは情報技術と道路交通の組み合わせにより、心理的・物理的距離を縮め、地域の交流機会を飛躍的に拡大させる。経済の活性化にも大きく貢献する。
札幌市手 稲区長/小川 敏雄
  • ITSの目的には市民生活の向上という側面もある。市民側の協力がある形でのコミュニケーションが必要である。
  • 高齢化時代に向け、歩行者の利便性向上を目的とするITSも重要となる。
後志支庁ニセコ町長/逢坂 誠二
  • インターネットに限らず、様々なメディアで情報を発信することが重要である。
  • 合意形成のためには、一般ユーザーに除雪などの事業目的や、現状、困難な点などを伝えることが大切である。
リクルート北海道支社/藤田 達也
  • 携帯電話は普及率が高く有効な情報端末である。利用者側には簡単で日常的に使えるものでないと普及しない。
  • 日常生活の中でITSを使ったサービスができると、無理なく浸透していく。
  • 道の駅の運用状況には温度差がある。安心感がないと道の駅ブランドの信用性が落ちる。
  • インターネット社会では必要とする情報が探しにくい。地域情報のポータルサイトが必要である。
  • 情報に関する住所録を作ることが、地域の活性化につながる。